マルチで「絶対に儲かる!」と言われ借金地獄に陥った話

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不労所得って素敵な言葉じゃないですか?「お金はほしいが苦労はしたくない!」私はいつもこのように思いながら日々を生きています。激しい労働なんてせず、浮世離れした遊惰な生活を送りたい。

 

わかっています。甘いですよね。現実はそんな甘くないですもんね。

 

「楽して稼ぐ」なんて言葉は言葉でしか存在しないでしょう。どんなお金持ちでも、宝くじに当たるとか、実家が資産家だったりとか、幸運の持ち主人以外、人生のどこかで必ず並大抵ならぬ努力をしていらっしゃると思います。

 

今回の記事は、マルチで地獄体験をした友人について綴っていきます。

 

借金地獄への体験談とギャンブル依存

「絶対儲かる!」という言葉で闇落ち

 

友人の名前は(仮名)のぞみ。

彼女がこの話の主人公。

当時大学三年生だった彼女は何不自由なく、平凡な日々を送っていた。

 

優しい先輩との再会

 

ある日、昔、同じバイト先で働いていた(仮名)田中という先輩から急に連絡がきた。

田中

のぞみちゃん!久しぶり!最近元気にしてる?

 

お久しぶりです。元気にしていますよ!

急な連絡で驚きました。笑

本当に久しぶりの連絡にビックリしたが普通に返事を返した。

 

その後も自然とお互いの近況報告や他愛無い話でメッセージが続いていく中で田中から

そういえば、のぞみちゃんって今大学三年生だよね。将来何したいとかあるの?

と質問をされた。

 

のぞみはとても困った。

 

やりたいことがはっきりしていたり、未来図予想図がきちんと描けている友人を多く持っていたが故に、目標や夢を何も持っていないのぞみは将来に対しての不安や焦燥感は人一倍強かったのだ。

しかし、メッセージを繰り返していく中で田中とは仲も深まっていたので、恥じながらも正直にその旨を伝えた。

何も決めていないです。恥ですよね、周りの友人は色々行動を起こしているのに、私はやりたいことも見つけず、時間だけがどんどん過ぎていってしまって…。

 

それに対する田中の返事は優しいものだった。

 

「そうなんだ。でもそうだよね、実際に社会に出てみなきゃわからない事ばかりだよ。今のぞみちゃんにとって足りないのは圧倒的情報量かもね。」

 

 

そこからも何度かメッセージは続き、いつも親身になって話を聞いてくれる田中に対して、のぞみは「先輩は優しいし頼れるしとても良い人だ」という信頼信が強まっていく。

 

ある日田中から紹介したい人がいるから三人で会ってみないかと提案された。

俺が尊敬している先輩の一人で、のぞみちゃんに紹介したい人がいるんだよね。その人すごくカッコよくてさ、その先輩と会って俺の人生変わったといっても過言ではないと思うんだ。ついこの前のぞみちゃんのことを少し話したら、その先輩が何かアドバイスができるかもって言ってくれて。どう?一回3人で会ってみない?

 

信頼している先輩がそういうのなら…!と、のぞみは何の迷いなくその誘いに乗った。

 

地獄への一歩

 

田中から紹介された(仮名)山内は、のぞみが想像していた人とは違い、金持ちオーラが強くとても近寄りがたい存在であった。

初めまして!山内です。のぞみちゃん?だよね?田中から色々話聞いてるよ!

はじめまして。のぞみです。

のぞみちゃん、緊張しているね?山内さんってカッコいいしオーラもあるから最初はビビるかもだけどとっても良い人だよ!

 

 

存在感に圧倒され最初はとても緊張していたが、田中が雰囲気を和ませてくれたのもあり、次第にのぞみは打ち解けていった。山内は自分の人生観や仕事観、社会の仕組みに対しての持論を展開させていき、何もかもが自身に満ち溢れているように感じる彼の話はのぞみの心に刺さるものばかりだった。

 

俺と出会ったからこそにはのぞみちゃんにも社会の勝ち組になってほしい。夢も目標も持っていないそうだが、今日が人生の転換期となるだろうね。このまま、世の中の波に流されて搾取される側の人間になってはだめだよ。

人生いかに効率よく生きていくかが大事。のぞみちゃんには時間にもお金にも余裕ある人間になってほしいんだ。

 

 

山内はそう話ながらそっとUSBを差し出した。

何ですか?これ。

人生勝ち組になるためのアイテムだよ。

バイナリーオプションて知ってるかな?

初心者でもやりやすい投資なんだけど、うまくいけば一年間で200%の利益は出るね。このUSBは、バイナリーに関する情報が入っている。はじめは難しいかもだけどこれさえあれば少なくとも将来は安泰だよ。

これさえあれば絶対儲かる!

 

洗脳と表現していいかはわからないが、冷静に頭が回らなくなっていたのぞみは、その発言に多少の猜疑心は抱きつつも、二人の口車にうまく乗せられ、約50万円でそのUSBを買うことにしました。

 

50万円…。どうしよう。

お金の心配は大丈夫だよ。俺だって最初はそんな大金なかったし。

でも、山内さんの紹介でお金を貸してもらったんだ。

貸してもらったお金はバイナリーで得た利益ですぐ返せたし、初めは少し怖かったけど、その時の俺に「何の心配もいらないよ!」と言ってやりたいよ。このUSBさえあれば絶対に儲かるからね!

 

 

多少ではあったが抱いていた猜疑心は消えぬも、話はどんどん進み後に引けない状態だった。山内に連れられいくつかの学生ローンの事務所から、海外留学のためにと嘘をついてお金を手に入れた。

 

安易な気持ちで手を出した借金。それは地獄への深い深い一歩だった。

時すでに遅し、気づいた時には返済地獄

 

USB購入後、のぞみは必死だった。

 

度重なる出費と膨らみあがる借金

 

山内が開催する投資の勉強会を目的とした有料ミーティング、投資に関する有料のセミナー、のぞみはそれらにほぼ全部参加していた。投資で儲けるために費やす金や時間は痛くも痒くもなかったのだ。

それもそのはず借金をしている背徳感から、早く利益を得なければという焦りがあった。その他にも有料セミナー、有料ミーティングで交友関係が広がり、そこで出会った友人たちと意識を高め合い、「金持ちになったら何をするか」等と夢を語るのは楽しかった。確かに投資ではきちんと利益は得ていた。

 

しかし、身の丈以上の投資金やセミナー等での度重なる出費で膨らみあがる借金、その現実に目を向けなければならない日がやってくる。

 

さすがにこのままではやばいとのぞみも感じ、山内に相談をした。

彼はすぐに助け舟を出してくれた。

 

努力は必ず報われるよ。

そうだ、のぞみちゃんに渡したUSB、あれと同じ情報が入っているものをを誰かに売ってくれれば、謝礼としてとしてお金を払うよ。

 

のぞみはいよいよ友達までをも利用し始めた。もちろんのぞみの人脈はどんどん破綻していく。しかし、そんなのはお構いなしに、のぞみは盲目的にお金を得ることだけがすべてになっていた。

 

失ったものはお金だけではなかった

 

初めて友達にUSBを売れた日。のぞみはようやく目が覚めた。

膨らみあがった借金は、友人一人分の謝礼では全く足りなかった。

何人とも会ってお茶や食事を繰り返していたたことも拍車をかけていたそうだ。

 

この一つのUSBを売るために失った代償は大きく、間接的とは言えども、借金を返済するために友人を利用していた自分の愚かさに次第に気づいていく。

 

絶望だった。時間も、お金も、友人も、失ったものの多さにそうすぐには立ち直れなかった。

 

目の前には返済に追われた現実。そこからの軌道修正は本当に難しかったそうだ。

地道にバイトをし、生活を切り詰めて借金を返済し、闇に落ちる前までの元の生活に戻るのは決して容易ではなったが、嘆いたところで解決するものではない。

精神的にも体力的にも限界を感じながら過ごした日々を送り、借金完済した日の虚無感は言葉では言い表せないと言っていた。

まとめ

 

  • お金は決して簡単には手に入らない
  • 儲かることに絶対なんてない
  • 借金をしたと同時に返済することを最優先に行動するべき
  • 自分がお金を得るためだけに崩した人間関係の修復は難しい

 

投資が絶対にダメと言っているわけではなく、お金を儲けることが悪いわけでもありません。私がこの友人の体験記を通して皆様にお伝えしたいことは、幸も不幸も己の行動次第であり、何かを得れば何かを失う、だからこそお金を得ることに熱中して失うものは何かを考えていただければと思います。

冒頭でも述べましたが、私だって楽だけして生きていたいです。不労所得最高!だなと思います。でも実際にその行動を起こすのならば覚悟を持たなければなと、思いますね。

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